「てかさ、アンタなんでそんなにテンション低いの」
ちらりとサングラスから瞳を覗かせてわたしを見たサクラが、すこし責め立てるようにそう言った。
そんなことを言われるなんて想像もしていなかったわたしは、「えっ、」なんて間抜けな声が出て。
「いや、えっじゃないよ。こんなに明るい太陽の下、辛気臭すぎ」
「……だってえ、」
「あー、ごめん!ごめんって。そうだね、悲しいね、ごめんね」
そんな責めないでよお、なんてわざとらしく泣き真似すれば、サクラもこれまたわざとらしくわたしのことを慰めて。
ポンポン、とサクラの手のひらが優しくわたしの背中を叩くから、いつものわたしたちのお決まりのノリなのに、ちょっとだけ本気で泣きそうになる。
───わたしのテンションが上がらない理由。そんなのは、いつだってたったひとつしかない。
サクラの優しい腕の中からちらりとだいすきなリュウ先輩を盗み見ると、もちろん彼の周りには何人もの女の子がいる。
ほとんどが1年生だと思う。可愛らしく髪を巻いて、可愛らしくお化粧して。リュウ先輩を彩る彼女たちは、同じ空間なはずなのに別世界のような気がした。
あーーー!無理だよ!!無理無理!!あんなの無理だもん。


