君に毒針



リュウ先輩と清水先輩と樋野くんとわたし、の即興セッションは予想以上に楽しくて。

ジャズ本当にすきだなあ、とにまにましてしまった。


リュウ先輩もすんごい楽しそうで、その横顔をちらちらと盗み見ていたら、わたしももっと楽しい気分になって。

…へへ、やっぱり。今日のわたしは幸せすぎてどうにかなっちゃいそう。



「ピアノ弾く前に行きたいって言ってきたから、誘っただけだけど。行きたくなかったの?」

「えっ、待ってください。行きたいって言ったら毎日行ってくれるんですか!?わたし明日も行きたいです、明後日も、なんなら本当にいつだって!」

「いや、行くわけないじゃん」

「えー、先輩。どういうことですかー!?」



セッションが終わったころ、他のサークルメンバーも集まってきて、わたしのリュウ先輩独り占め時間が終わってしょんぼりしてた。

そんなわたしの元にリュウ先輩はトコトコって寄ってきて、「飯どこ行きたいの?」って。
幻かなにかだと思ってぽかん、とわたしが口を開けていれば、「行かないの?」とリュウ先輩がさらに追随して、それはもう渾身の元気とともに「行きます!!!」とわたしは宣言した。


こんなのあれじゃん、両思いじゃん!昨日よりも両思いだよ!