君に毒針



ニヤニヤする口角を下げようとほっぺを抓る。夢じゃない。痛いもん。全然夢なんかじゃない。
嬉しいが限界突破してへへへ、なんてやっぱりだらしなく頬が緩んでしまえば、そんなわたしのことを一瞥したリュウ先輩は、変なのって笑った。


うっ……眩しい。眩しすぎて辛い。


こんなのデートじゃないか。デートなのか?いや、絶対デート。デートに決まってるんだ。

自問自答が止まらなくなって、頭の中がぐるぐるする。

目の前にはかっこいいリュウ先輩。2人きりの夜ご飯。

いつもと同じウーロン茶がいつもより美味しい。



「先輩、なんでご飯急に行くって言ったんですか?」

「気分」

「すきってことですか!」

「そうは言ってない」