君に毒針



「二次会行けばよかったんじゃねーの?」

「わたしがお酒飲めないこと知ってるでしょ?お酒飲めないのに二次会行くとか、さすがに出来ないです」

「…変なとこ真面目だよなあ、ハタチになるまで飲まないとかさ」

「真面目なのはいいことですよ、」

「そーだね、いーことだ」



ぎゅっと。右手がおっきな安心する手に包まれる。

この関係の名前をわたしは知らない。知りたくない。



「もー寝るの?」

「ううん。テレビ見る」

「ふーん、じゃ、見よ」



手を繋いだまま、彼はわたしを小さなソファに連れていく。

慣れたように膝の間にわたしを座らせてから、わたしの体を後ろからぎゅっと包んだ彼は、一体どんな表情をしているんだろう。

背中から伝わる温もりは、リュウ先輩で傷付いた心をやんわりと癒していくような、そんな滑稽な勘違いをさせてくれる。