君に毒針




先輩が、夜の公園にいた日。
俺は、自分のせいで先輩がそうなってるのに、どうしよう、と焦っていた。

先輩の持っている片思いを壊したくて必死だったから、壊れたあとに先輩が悲しむことまで頭が回っていなかった。

すこし考えればわかるのに、悲しんでる先輩を目の前にしてようやく、やってしまった、と思った。
だから、ただ隣にいるしか出来なかったし、先輩の傷が癒えるまでは、そっとしておこう、と誓った。





────だから、先輩が俺のことをずるい、と言った日は、驚いた。
先輩がこんなに辛くなったのは俺のせいなのに、怒ってないの、嫌いになってないの、ってかっこ悪く聞きかけて、あまりにそれはかっこ悪いからやめた。


そりゃ、先輩の言う通り、夏休みに沢山会いたかったよ。
すきだから、顔を見たかったし、顔が見れないにしてもメッセージ送りたかった。

何度か打ち込んで、消してたんだよ。謝ろうとか思って【ごめんなさい】を打ち込んだこともあるし、心配で【大丈夫ですか?】と打ち込んだこともある。でもどれも、送れなかった。