「………ごめん、可愛すぎて止められなかった、です」
何度目かが終わって、ようやくわたしを解放した樋野くんは、すこしバツの悪そうに視線を逸らしてから、「しんでない?」と言う。
ころされるのはやっぱりわたしだった、と。すこしむかついて、「しにそうだった、」と答えたら、なぜか嬉しそうに樋野くんは笑った。
「ミナ先輩、」
すぐにまた唇が触れられる距離。ふわふわした不思議な感覚が、わたしの中にずっとある。
樋野くんのおでこがこつん、とわたしのそれと重なった。わたしの顔は今とんでもなく熱いから、恥ずかしくって逃げたい気もしたけれど、でも、もう逃げたくない気もしていた。
「すきだよ、俺もすき。ミナ先輩だけ、ずっとすき」
甘く微笑んだ樋野くんが、ちゅっ、と一度また唇を触れ合わす。
樋野くんのすきとわたしのすきが、交わっている。片思いが交わって、両思いになる。
─────先輩の持ってる片思い、全部捨ててください。先輩の片思い、俺にください。俺以外へのは、全部捨てて、俺にください。
あの日の樋野くんの言葉が、心の中を反芻する。わたしは捨てた。樋野くん以外のは、全部捨てた。全部捨てたから、この先もずっと、樋野くんだけにこの気持ちはあげるから。
だから、樋野くんもちゃんと、ずっとわたしにちょうだい。
「…わたしも、だいすきっ……滉!」
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