君に毒針




「わたし、樋野くんのこと、すきになった」

「……、」

「樋野くんといると、心臓がずっとうるさいの。痛くてどうにかなっちゃいそう、なの。いまも、しんじゃうって思う。しんじゃうかも、って冗談とかじゃなくて、本気で思う」

「………、」

「だから、その、」

「…………、」

「あの、樋野く、……」



ふわり、シトラスの香り。3度目だった。ひんやりとした背中の感覚はなくなって、代わりに腕の中に包み込まれる。



「……俺も。…俺も、しんじゃうかも、先輩」



ぎゅうっと樋野くんが強くわたしを抱きしめていた。答えないと、答えたいって思って。今度はちゃんとわたしも腕を伸ばしてぎゅうって回したら、一瞬、樋野くんの身体は強ばってから、もとにもどる。



「ずっと、俺だって心臓、痛い。先輩のせいです、ミナ先輩のせい。ミナ先輩にころされそう」

「そ、れはちょっと、ひどい。」

「…ふはっ…うん、ごめん。でも、ほんと。本当、ころされかけてる」