「…先輩、あのね、」
あの日の自分を掬う。ファミレスの外に向かう清水先輩の背中を見つめながら、封印した自分を掬い上げる。
さっき言ったじゃん、って笑われるかもしれない。呆れられるかも。でも、ちゃんともう一度、わたしの言葉に答えて。
「───先輩は、わたしが可哀想だから、優しくしてくれたの?わたしが可哀想だから、抱きしめてくれた?わたしが可哀想だから、ぜんぶ、してくれた?」
あの日のメロンソーダを今もずっと覚えている。緑のしゅわしゅわがずっと記憶に残っている。
先輩が席に残していった、緑色が、ずっと。
わたしの質問に一度驚いたように目を丸くした清水先輩は、次の瞬間には世界でいちばん優しい顔をする。向日葵みたいな優しい笑顔をわたしに向ける。
ああ、この顔だ。わたしは、この笑顔に惹かれたんだ。惹かれていた瞬間が、あったんだ。
「ばかだなあ。なわけないじゃん。すきだからだよ。ぜんぶ、すきだから。俺は神楽のことがだいすきだったから、だから、弱みにつけ込んで優しくしたんだよ。言わなきゃ、わかんないなんて、ほんと、神楽ってばかだよ」


