君に毒針




「えっ!?」



思わず立ち上がってしまうと、ちょうどわたしの後ろを通ろうとした知らない誰かから「いてっ」と言葉が落ちてきて、「す、すみません」と平謝りする。

椅子をぶつけてしまった。本当に良くない。

じくじくと広がる痛みで視界がくらりとするような。



「…ごめん、嘘」

「えぇっ!?」



再び座り直したタイミングでサクラはまたそんなことを言う。だから、また思わず立ち上がる。…今度は誰も、後ろにはいなかったから、椅子がぶつかることはなかった。



「ミナちゃーん?そんな反応しちゃってさあ…もう、わかってるんでしょ?」



からかうようにサクラが笑って、その視線がくすぐったくて、もう、いやだった。