君に毒針




「ミーナちゃん?」

「……なに?」

「いい加減、教えてくれてもいいんじゃない?」



サクラがずっと、にやにやとしているから困る。

あんなに息巻いてサークルに行きますと言ったくせに、翌日「やっぱりしばらくは行きません」と宣言したわたしを、2週間しっかりと泳がせた親友──サクラは、最近こうやって痺れを切らしたみたいにその話題を持ち出す。


たしか、最初の1週間と2日くらいは、心配してくれていた。
でも、その次の日からは、それとなく探り始めて、今日はもう、にやにやを隠そうともしなくなった。



「こっちはねえ、もうあがってんのよ」



どこかの刑事みたいな言葉でわたしを追い込もうとするサクラは、今日も親子丼を食べていて、でも、今日の親子丼は機械的ではなく本当に美味しそうに口に運んでいるから、すこしむかつく。

わたしのカツ丼の方がおいしいし。ふん。
意味のわからない張り合いを唱えながら、一口、出汁のかかったお米の部分を口に運ぶ。