「っ、ふっ…ははっ、今の神楽、4年で1番おもしろいよ」
「ちょ、っと!わらわないでください!」
こっちは真剣に、ですね、と必死に言葉を繋いでいるのに、4年間一度も見たことのないほどにケラケラと笑うリュウ先輩は、掴めなくてずるくてわたしの憧れの恋焦がれた男の人、ではなかった。
うまく説明は出来ないけれど、なんというか、こんな風なリュウ先輩を見たのは、初めてだった。
「あー、おもしろ」
そんなに面白いことあるか。
目に涙まで浮かべて笑うリュウ先輩は、本当にもう、心底腹立たしいのに、どうしてかわたしも頬が緩みはじめて。
気付いたら、わたしも一緒に笑ってしまっていた。
ほんの少しの喪失感と大きな安堵。
わたしとリュウ先輩の真ん中には、もうばかみたいに積み上げた“片思い”は存在しなかった。ちゃんと、もう、捨てられた。
でも、全部消えてしまうわけじゃなかった。わたしたちの4年間は、片思い以外もちゃんと、存在した。それが本当に、ただ、嬉しかった。


