君に毒針



サークル部屋の前。自分で入れたツッコミは虚しく廊下に響き渡った。

足取り軽くわたしはサークルにやってきた。そして、頭に思い描いていたイメージ動画だと、そのまま「おっはようございまーす!」みたいなテンションで部屋に入っていく感じだったんだけど。

扉を開けた瞬間にこちらを見ただいすきだった人──リュウ先輩──を視認したら、身体が勝手に扉を閉めていた。


どうしよう。想定外。先輩がいるのは想定内。自分自身の反応が想定外。



「わたし、今日バイトだから一緒に行けないよ?行くの明日からにしたら?」と最後の最後までわたしを心配してくれていた親友は、この世でいちばんのわたしの理解者なのかもしれない。

そして、わたしは自分自身のいちばんの無理解者なのかも。



…出直す?いや、出直すっていつ出直すの?リュウ先輩以外もサークルに来たらもう1回入る?え、それまでどこで待つの?ど、どうしよう。どうする?考えろ、考えろ、かんが、



「…神楽、ひとりごと、漏れてる」

「うあっ、!?」