君に毒針






夏休みはあっという間だった。

2ヶ月間と聞くと長くてなんでも出来そうな気がするのに、実際過ごすとほんのいっときに感じる。



途中であったサークルの2泊3日の合宿には、行かなかった。予定があるから、と、出席しない、の返事をした。

本当に予定はあった。予定、と呼べるようなものではなく、ただの単発バイトをそこに入れてしまった、別に行かなくてもいい、そんな予定だったけれど、わたしはその小さな予定をまるで大きなもののようにした。



樋野くん、は。2回目の満月の日から、すこしだけまた近付いて、メッセージのやり取りが1日に数回来るようになった。

【先輩は、合宿行きますか?】と彼からメッセージが来た時は、今度は彼の出席の可否をグループで知ることはなくて本人から先に知れるんだな、という気持ちになった。
それだけだ。本当に、それだけ。



────夏休みが終わる。9月のおわりだって言うのに、世界はまだまだ暑さを捨てていなかった。そのせいで、熱がまわるのがはやくなる。