「…言わないと、だめ、かな?」
たしかにもう泣いてないけれど。傷も癒えてきているし、毒も抜けてきているけれど。すべて完全ではないんだよ。本当に完全じゃ。
今日急に現れた、ほんのつい数分前に気が付いた、まだ名前の無い気持ちを、吐露するのは嫌だった。
自分がすごく薄情な人間に思えて、自分でもまだ否定したい気持ちでいるし。
というか、思わず口から“ずるい”と零れてしまって、それで、自分でも初めて気が付いたんだ。
まだわたしもこの感情を持て余している。抱えきれていない。
だめかな?なんて甘えてはみたけど、樋野くんはやっぱり逃がしてはくれない。
だめです、とも、だめじゃない、ともわたしの問には答えてくれずに、ただ瞳の中にわたしをうつしている。
「…あの、樋野くん、」
「説明して、ミナ先輩」
「……いやです、結構いや」
「俺もやだ」
「やだ、じゃなくて、」


