君に毒針







【先輩もこの授業取ってるんですね】

ちょうど、講義が始まって30分が経とうとした頃。退屈すぎて眠りそうになった瞬間にブーブーとなった携帯には見慣れない人物からのメッセージが映し出されて。

誰だっけ、なんて戸惑っていれば、それを察知したかのような連投。



【あ、ごめんなさい。樋野です】

わざわざわかりやすく名乗ってくれる差出人。
メッセージアプリにちゃんと名前に書いてあるからわかるのに、いやでも下の名前─滉─だけだと昨日の今日だとわからなかったかも、なんて妙に納得してみる。

実は昨日、二次会に行かない者同士、樋野くんと一緒に流れで帰ったわけだけど。

進めど進めど同じ道です、と顔色ひとつ変えず樋野くんが言うから、どういうこと?なんてハテナを浮かべながら黙々と歩いて、結局お互いの住むマンションが同じってことが判明して。
えー!すごーい!って上がったテンションのまま勢いで連絡先を交換した。

まあ、大学の周りなんて学生の住むマンションばかりで、同じとこなんてよく考えれば珍しくもないかもなんだけど、テンションが上がっちゃったんだから仕方がない。