君に毒針








先輩は、わたしが可哀想だから優しくしてくれてたんですか?先輩の優しさは全部、可哀想、だったからなんですか?









もっとはやくに聞くべきだった質問を、今の今更投げかけたって、わたしたちはどうにもなれないと思った。

だから、やめた。あの春の日に生まれてしまいこんだ思いを救ってあげるのは、無意味だ。

捨てようとしているものに名前をつけるのは、無価値だ。