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「ミナ?」
「っ、あ、」
ぼんやり、してしまっていた。終わりを意識してしまったら、急にはじまりを思い出してしまった。
あの日から、いくつも変わったことがある。
ふたりきりのときは、変わった。
清水先輩がわたしをミナと呼ぶようになった。
わたしは清水先輩をコウキと呼ぶようになった。
まるで友達のような、仲のいい先輩後輩のような、そんなどうでもいいメッセージのやりとりがなくなった。
代わりに、甘い毒の誘いだけが、わたしに届くようになった。甘い毒を求めることだけ、送るようになった。
すう、っと深呼吸する。心臓がうるさく動いていた。
緊張、しているらしい。
「清水先輩、」
決別の意味を込めて、呼び方を変えた。
それにきっと彼も気付いていて、でも、何も言わない。
最後まで、彼はわたしの求めているもの以外を与えようとしない。
「わたし、リュウ先輩に振られました。ちゃんと、振られました」
「…うん、」
「……あのメッセージ、返事出来なくてごめんなさい。知ってたんですよね?だから、送ってくれた」
「…うん。リュウから、連絡来たから。大丈夫かなって思ってた」


