君に毒針




─────それから、数日後。

あのときそのまま貸してもらった清水先輩のタオルと、お礼の意味を込めた新品の緑色の刺繍が入ったタオル。
ふたつを手頃な紙袋に入れて、わたしは清水先輩の家を訪ねていた。


玄関を開けてわたしを招いた清水先輩に、「この間はごめんなさい」と開口一番謝って、それから紙袋を突き出す。

「…別にいいのに」とまた優しさを見せた清水先輩は、わたしが突き出したそれを受け取った。



「リュウ、別れたらしいよ」

「…知ってます。リュウ先輩が言ってました」

「そう。…リュウは律儀に伝えるんだね、神楽には」



冷たい気がした。
言葉に違和感を感じて、だから、思わず顔を上げれば、「別れてよかったじゃん」と何も無かったように清水先輩は笑っていたから、違和感は泡みたいに消える。



「リュウは振り向いてくれそう?」