君に毒針




息が吸えなくて、上手くできなくて、でも、こんなところにいてはいけない。
幸いにもふたりは、わたしに気付いてない。ほんの少しだけ空いていた扉から盗み見てしまったわたしが悪い。そう、わたしが悪い。


逃げるようにそこから踵を返した。


どこか知らない場所に行かなければ。そう思って無我夢中で、もう取り壊しが決まっているから誰も今は入らないんだ、って誰かに教えてもらった旧講義棟に向かって、走った。

必死に酸素を取り込む。ひとりになりたかった。