君に毒針




わたしより1年早く大学生になっていたリュウ先輩に、それはもう美人な彼女がいることを知ったのは、確か大学生になって3週間くらい経ったとき。

もちろん知った時は傷付いたけれど、リュウ先輩に彼女がいたことなんて今までにもあった。だから大丈夫。大丈夫なんだ。
と、集めた強がりを集めてひとつの防御膜にして、なんとか日常を保っていた。



─────保っていたのに。



不幸にも、わたしは見てしまったのだ。まだ誰もいない、リュウ先輩とその彼女らしき人しかいない、サークル部屋で。唇を触れ合わす、ふたりを見てしまった。


リュウ先輩はピアノに座っていて、その前に立っていた彼女がすこし屈んでいた。

リュウ先輩の顔は見えなかった。扉に背中を向けて座っていたから。でも、彼女のそれは見えた。瞼を閉じていた。すごく綺麗に見えた。綺麗で、辛かった。