君に毒針





「…なんか、ひさしぶりな感じするな、」



玄関を開けてわたしを招いた清水先輩は、すこしだけ気まずそうにそう零した。
清水先輩を避けていたわけじゃない。リュウ先輩を避けたら必然的に清水先輩とも会わなかっただけ。

……いいや、それは嘘、か。メッセージを無視していたのは、わたしだった。



部屋にあがる気はなかったから「今日はここでいいんです」とわたしが言えば、清水先輩は理由は聞かずに「…そう、」と言う。

…なんだか、こういうの、前にもあった。

ああ、そうだ。わたしが大学生になってすぐの頃だ。確か、あれは────




*


甘い毒の、はじまりのときだ。