君に毒針



やっぱり先輩はいつも余裕たっぷりで、そういうところが嫌いだ。
わたしばかりが背伸びしていて、先輩にずうっと追いつけない。

すきだったり嫌いだったり。めんどくさい後輩でごめんなさいって思うけど、わたしをめんどくさくさせたのは紛れもなく先輩だと思うから、口には出さない。



「先輩、」

「なに」

「わたし、ファーストキスは、すきな人って決めて……なんでもないです」

「……うん」



言いかけた恥ずかしいセリフは、我に返ると本当に恥ずかしすぎて、自分が何を口走ろうとしていたのか、こんがらがってしまう。

お酒のせいかな。お酒のせいにさせてくれ。



「忘れてください」

「うん」