「……………もし戻れるとしたら、あの日、わたしに声掛けるのやめますか?」
ぼやける視界で、隣に座ってる先輩を見つめる。
最後に聞きたかったちっぽけな質問に、先輩はんーって悩むふりをしてから、思い出すみたいに、ふって笑って。
ああ、その笑顔。本当にだいすきだった。
先輩のその笑顔で、わたしの世界は大袈裟でもなんでもなく、あの日から色付いたんだよ、って、先輩にはちゃんと伝わってるんだろうか。
「─────ごめん、やめれないと思う」
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リュウ先輩のずるいところがすきだった。
風みたいにつかめなくて、猫みたいに気まぐれで、優しくしたり冷たくしたりするくせに、わたしのことを拒否しない、そういうずるさがすきだった。


