君に毒針



どうしてそんなにお喋りなの。
本当に、今日終わるみたいじゃん。


最後までずるいよ。


いつも、適当な返事しかしてくれなかったじゃん。
いつも、わたしのことなんてかわしていたじゃん。

今日だって、そうしてくれていいんだよ。
いつもみたいに、掴めないあなたでいてよ。


なんで今日は、優しいの。

なんで今日、ほしかったこと、言うの。



「中途半端に引き伸ばして、ごめん」

「っ………謝るの、っ…ダメです」

「ずるくてごめん」

「やめてっ……ください…」



気づけばポロポロと涙がとめどなく溢れていた。
拭いても拭いても溢れてしまって、視界はもうぼやぼやだった。

いつの間にかわたしの隣に移動していたリュウ先輩が、くしゃくしゃ、とわたしの頭を撫でる。
「たくさん、ごめん」と零しながら、柔く、手のひらを動かす。


ダメだよ、なんで。
どうして今日は、そうやって距離を詰めるの。

詰めないでよ、来ないでよ。そんな風に、優しくしないでよ。