君に毒針



「ミナ、携帯とにらめっこしてなにしてんの?」

「……リュウ先輩が飲みに行こーって」

「えっ!?」



隣に座っていたサクラは、わたしよりも驚いていて、どうしたの?って言ったら、ミナ熱あるの?って心配された。

心外だな。わたしだって色々あるんだよ。



「ハタチになったらお酒飲めるねって前言われたから、誘われたんだよ」

「待って、本当にミナですか?」

「なにその、怖い話」

「いやだって、」



わかってるよ、サクラの言いたいことは。

前のわたしならこんなことあったなら、今すぐにリュウ先輩の元に走っていって、だいすきですって伝えてたと思うもん。

だけど、今は、その動力がなくなってしまったみたいに動かなくて、思い返すとどうやってリュウ先輩に毎日思いを伝えてたのかわからなくなってる。


おはようございます、すきですって、それはわたしの当たり前だったけど、今はそう簡単にすきって言えないような気がしているし、すきってもっと重いような、そんな感じ。