君に毒針



「あれ?コウキじゃん、なにしてんの?…あっ、どうもー」



知らない人、だった。片思いの天秤にうつつを抜かしていたわたしとなんにも知らない清水先輩のところに来たのは、すこしチャラそうな感じの男の人だった。

誰だろう、なんて少し警戒していれば、「えっ、久しぶりじゃん!」と清水先輩がその人に笑うから、ああ清水先輩の友達か、とすぐにその警戒はなくなる。



「えー?なに、コウキが勉強見てんの?珍しっどうしたの?もしかして…彼女?」

「は、ちげーよ、後輩!俺と同じ大学目指してっからさ」

「ふうん、同じ大学…いやいやそれ怪しすぎだろー!」



男の子たちのノリ、というのか。
わたしのせいでからかわれているような清水先輩を見て、なんだか嬉しいような申し訳ないような気持ちになって、どうしよう、なんて会話を見ていれば、清水先輩は困ったように笑ってから、「…俺じゃなくてリュウだから」と。