君に毒針




「神楽はやれば出来る子だって、な?」



クシャリ、と太陽みたいな笑顔で清水先輩が笑ってから、わたしの前髪を崩しながら撫でた。

セットしたんですやめてください、と怒れば、可愛いのが台無しかごめんね、とケタケタ清水先輩は笑う。


────その明るさに、やられてしまっていた。


リュウ先輩のくれるドキドキとは違うそれに、わたしはあの時確かにやられかけていた。

リュウ先輩の妖しい笑顔じゃない、清水先輩の向日葵みたいな笑顔に、わたしは何度もときめいていた。


でも、それは違う、と何度か否定して、でもまたそんな気持ちが浮かんで。
それこそ炭酸の泡みたいに、上がっては消えて、をわたしは繰り返していた。



心変わり、をしてしまうんだろうか。このままだと、そうなってしまう?
そんな考えが一瞬よぎって、ぶんぶん、と頭を横に振ったりして、そうして片思いの天秤を楽しんでいた。

どっちのすきが、今大きいのか。
リュウ先輩への2年間の片思いか。いつからか芽生えていた清水先輩への片思い未満か。

ファミレスで、清水先輩と向き合って、勉強を教えて貰いながら。
そんな邪なことをわたしは考えていた。─────けれど。