*
・
*
これは、いらない記憶。わたしが捨てた、記憶。
「だからね、その数式は使わねえって何回言ったよ、俺」
「…うわーーー!もう無理、清水先輩無理です、なんでそんなにリュウ先輩って賢いんですか?」
「まあ、リュウは割となんでも出来っからな〜」
─────わたしが高校3年生。リュウ先輩と清水先輩が大学1年生になった春。
本格的な受験勉強をはじめたわたしは、清水先輩に泣きついてたまに勉強を見てもらっていた。
リュウ先輩に会いにいく中でいつもリュウ先輩の隣にいる清水先輩とは知らぬ間に仲良くなっていて。
わたしが猪突猛進する横で、いい感じのパスを出してはアシストしてくれる清水先輩って聖人君子か何かなんだろうか?とあの時は本気で思っていた。
「まあさあ、頑張るしかないんじゃない?」
あまりの出来なさに項垂れているわたしを一瞥しながら、清水先輩はさっきドリンクバーでくんできたメロンソーダを飲んでいる。
しゅわしゅわする緑が、鮮やかだった。


