君に毒針



「ねえ、」

「あっ」

「あ、じゃなくて。この状況でほかごと考えられると、俺もムカつきます」

「………ごめんな、さい?」

「やだ」



樋野くんはたまにこうやって、やだとか言ってわたしを困らせるから、そういうところ年下だなって、歳で片付けられる問題なのかわからないことをぼんやり考えた。




樋野くんに告白されてから、少し時間が経った。

時が流れれば流れるほど、なんかアレってわたしの思い違い?お酒の夢?ってバカな考えが浮かんできて、でも、それを確かめるのが怖くて、ずっと樋野くんを避け続けていた日々だった。