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「………こんばんは、」
「こんばんは」
真っ暗な公園に行ったら、ちゃんと樋野くんはそこにいて、いざ本人に会うと、尋問の方が楽だったんじゃ?っていう後悔がうまれる。
小さいブランコに乗って前後に適当に揺れている樋野くんは、やっぱり独特の雰囲気を持っていて、モテそうだなあ、と他人事みたいに考えていた。
別に樋野くんのこと避けてたわけじゃないし、告白されたわけでもないし、嫌いなわけでもない。
だけど、どんな風に話しかけるのが正解なのかわからなくて、公園の入口に佇んでたら。
樋野くんが、少し小走りにこっちに来た。
「なんでマスクしてるんですか?」
「………化粧だけもうとっちゃったから」
「え、見たい」
「やだよ」
「………いつか見せてくれますか?」
「なんで、」
「先輩の全部、見たいから」
樋野くんって恥ずかしいという感情をどこかに捨ててきたんだろうか。
よくもまあ、そんなセリフを吐き出すもんだ。
マスクがあってよかった。
雰囲気に飲まれて、赤く染っているであろうほっぺを見られたくはない。


