君に毒針



「………ミナ?」

「あっ、」



いつの間にか隣に移動してきていたサクラが、不思議そうな顔をしてわたしを見る。

今日は女の子の日だからって、飲むのをセーブしていたミナは、ほかの人に比べて正常な脳を持ち合わせていると思う。



「誰だったの?」

「……間違い電話だと思うよ」



嘘。たぶん間違いじゃない。

なんとなくそう勘づいてるけど、間違いだと思わせてほしい。



今わたしの心は結構ぐちゃぐちゃで、リュウ先輩のこととか、清水先輩のこととかでめいっぱいだから。

どんな声で話せばいいのか、どんな言葉を吐き出せばいいのか、わからない。


ぎゅっと手首を巻く鎖に触れたら、揺れる心が戻る気がした。

あー、こんなときでもわたしはあの毒に頼ってしまう。