君に毒針



自分で自分が嫌になる。

いつからこんな弱い人間になったんだろう。

真っ直ぐだったあの頃に戻りたい。

言いたいこと、思ったこと、全部吐き出せたあの頃は、もう戻ってこない。




裾を掴んだのとは反対のわたしの手のひらを、清水先輩は包み込んでから。
はい、とそこにナニかを握らせる。



「気に入らなかったら使わなくていーから」



手のひらに突然侵入してきたそれをしっかりと視界に写せば、ちょうど窓から差し込んでいる月明かりが、キラキラとそれに反射している。

ラッピングとか、なんにもされてない。華奢な細い鎖。



「なに、これ?」

「腕につけるやつ」

「…ブレスレット?」

「そう、」

「…わたしに?」

「ミナ以外に誰がいんだよ」

「そう、ですけど、」



だって、こんなの、まるで、恋人に渡すもの、みたい。

そう意識した瞬間、体の中がぐっと熱くなって、でもそれはほんの一瞬で。
すぐに熱は冷めていって、そう感じてしまったことを言葉に出すのもおかしいから、ただ唇をすこし噛む。