君に毒針



よいしょってわざとらしく声を出してから、ゆっくりとベッドから降りた清水先輩は、暗闇に消えていく。

ベッドの上から見る彼の背中は、消えてしまいそうで不安になる。


ひとりで横になったままなのはすこし居心地が悪い気がして、追いかけるように彼の元へ歩き出せば、ちょうど帰ってこようとしてた彼に、寝ててよかったのに、とこぼされる。


すこしの時間でも、この空間でひとりになるのは寂しいんだよ。
そんな最低なずるい気持ちは伝えられないから、ぎゅうっと清水先輩のパジャマを裾を握る。



「…ミナ?どした?」

「別に、なんでもない」

「ミナって甘えんぼだよな」

「違う」

「違わねえって」



別に誰にでも甘えられるわけじゃない。
伝えられない思いがたくさんたくさん募っていく。