君に毒針



勢いで掴んでいた胸ぐらを、ゆっくりと離せば、また虚しさが心を埋めつくす。

肝心なところで強気になれなくて、リュウを言い訳にしてミナから逃げてる自分が、俺はいちばん嫌いだ。



「……俺、コウキのそういうところ嫌いじゃない」

「なんだよそれ」

「ごめん、」

「意味わかんねえよ」



謝られると余計に虚しくなるんだ。
そういうの、わかれよ。



「あのさ、」

「……なに?」

「俺は、神楽のことただの後輩だとは思ってなかったし、それは今でもそうだよ」

「は?」

「……そんだけ」