君に毒針



「じゃ、俺こっちだから」

「おーう。リュウ、じゃーな!またあした〜」

「リュウ先輩!さようなら!」

「ん、さよーなら、」



ふって微笑んだリュウ先輩はヒラヒラと右手を振りながら、わたしたちと反対方向に曲がっていく。

リュウ先輩のひとり暮らし先は、残念なことにわたしのそれとは反対側なのだ。
つまり、どんなに頑張ってもこの分かれ道までしか一緒に歩けない。



「あーあ、清水先輩じゃなくてリュウ先輩が同じ方向だったら良かったのに」

「それ本人に言うか?」

「言いまーす」

「まあまあ、そんなこと言って神楽は俺とふたりで帰るのもすきだもんな?」

「えっ、清水先輩、自意識過剰ですか?キモイですよ」

「おいおい!それはねえだろ」