君に毒針





*



(清水side)



「あれ、リュウ。どこ行ってたの?」



俺と一緒に講義を終えたはずなのに、いつの間にか居なくなってたリュウが、遅れてサークルにやってきた。

俺とリュウ以外の人はここにはいなくて、2人きりとか久しぶりだなって思った。



慣れたようにいつもの場所に荷物を置いて、いつものようにピアノの前に座ったリュウは、またいつものように音を奏でようとしていて。

おいおい、無視かよってつっこもうと口を開いた瞬間、リュウはこちらを振り向いた。



「…、なに?どしたの?」

「神楽んとこ、行ってた」

「………は?」

「神楽に会いに行った」



相変わらず何考えてんのかわかんない表情で、リュウは俺を真っ直ぐに見ている。

だんだんとわかってきたリュウの言葉に、ふつふつと筋違いな怒りが湧いてくるけど、そんな俺の思いを見透かした目をリュウがするから、俺はなんにも言えなくなってしまう。