君に毒針



先輩の視線の中が、わたしでいっぱいになっていて。
こんなの初めてなんじゃないかって、思う。


いつも一方的で、見返りなんて何にもなくて、求めてはいけないと思っていた。

かえってこない虚しさには、もう慣れていた。


次の講義がはじまった廊下は、ひとけなんてなくて、世界がわたしと先輩の2人になった錯覚を覚える。

あの日みたいだって、出会った時みたいだって、心のどこかで考えていた。



「……俺のことすきなんじゃないの?」

「っ……、」