君に毒針



ずるいよ。先輩は、ずるい。

なんでいつもこうやって繋ぎ止めるの?
わたしがやめようって思うと、なんでいつも現れるの?

なんで優しくするの?
いつもはお願いしたって呼んでくれないのに、今日はどうして名前を呼ぶの?

なんで欲しかったこと今言うの?


苦しくて胸が痛い。

涙が溢れだしそうで、唇をぎゅって噛んだら、先輩はどーしたの?ってわたしの顔を覗き込む。



「……っ…ごめんなさい」

「うん、」



なんで泣いてるんだろう。

先輩が優しくしてくれて、先輩がわたしの方を見てくれて、嬉しいはずなのに、なんで辛いんだろう。
考えすぎたのかな。頭がぐちゃぐちゃで、だから、感情がちぐはぐになって。



「………神楽は、」



先輩の手のひらが、わたしの頬を触った。

こぼれ落ちた涙が、先輩の親指に伝う。