君に毒針






「神楽、」

「っ!?えっ、先輩!?リュウ先輩!」



グルグルと頭を悩ませていたら、気づけばもう今日の最後の授業、3限目が終わっていた。

リュウ先輩をすきになってから、初めて自分の感情にちゃんと向き合って、初めて色々考えたせいで、わたしの頭はパンクしそうだったわけだけど。


そんなわたしの前に、なぜか講義室の前でわたしを待つリュウ先輩が現れてしまったもんだから、疲れとか悩んでたこととか、一瞬で頭のなかから消えていった。



「何してるんですか!?」

「今日、神楽の授業ここかなって」

「えっ、えっ!?なんですかそれ、どういうことですか!?」

「そのまんまだよ。神楽、うるさい」



神楽、って先輩がわたしを呼ぶ。

いつもより名前を呼ばれる回数が多くて、それがやっぱり先輩のずるさで、そんなずるさにもう一度ハマろうとしてしまっている自分って本当に滑稽だ。