君に毒針



(神楽side)


『ミナ先輩の大事にしてるすきは、もう、終わりにしたほうがいいですよ』




───あの日からずっと、樋野くんのセリフが頭から離れてくれない。

わかってたことを、勘づいていたことを、言語化されるだけでこんなにこたえるなんて知らなかった。知りたくなかった。


本当は何度も言われていたのかもしれない。いや、なんだも言われていたんだと思う。

まだすきでいるの?リュウ先輩彼女できたらしいよ?やめとけば?その片思い意味ないって。

聞いたことある同じセリフなはずなのに、樋野くんが言うと、全然違っていてだからこんなにもわたしは揺れてしまっている。


樋野くんは、真っ直ぐだから、いつだって正しいから、目を背けられない。
正しくないわたしでは、樋野くんの言葉に太刀打ちできる術がない。