カウントダウンの前だし、人が多いだろうと思っていたが、まさかの神社には誰もいなかった。
さすがに混み合うようなことはないだろうとは思っていたが、それにしても私と晴人しかいないなんて。
「このへんは年寄りばっかだしな。大抵は集まって飲んでるか、紅白見て、初日の出のためにさっさと寝るかのどっちかだよ」
「じゃあ、日の出の時間にはみんな集まってくるの?」
「いや、初日の出を見るやつらは、海の方に行くんだ。海から陽がのぼるのが綺麗だとか言ってさ」
「ふうん」
私と晴人は、石階段をのぼっていく。
暗くて、人っ子ひとりいない神社。
「何かさぁ、こうやってると、世界中の人がみんな消えちゃってて、私と晴人だけが残されたんじゃないかって思えてくるね」
「だったらいいけどなぁ。したら、もう勉強だの何だの、考えなくてよくなるし」
晴人の言葉に、私は声を立てて笑ってしまった。
境内に入った晴人は、早速、賽銭箱に小銭を投げ込む。
「え? 待って。年が明ける前に参っちゃっていいの?」
「知らね。適当でいいんじゃね?」
「ダメじゃん。ちゃんとしなきゃ、神様が怒っちゃったらどうすんのよ」
「神頼みなんてなぁ、所詮は気休めだっつーの」
「うわー。罰当たりな台詞ー」
でも、晴人が手を合わせるので、私も一緒に手を合わせた。
健康に過ごせますように。
あと、晴人とずっとこうやって、楽しくいられますように。
「人の10円でついでに神頼みするお前の方が罰当たりだと思うけどな」
と、いう、晴人の言葉は無視しておいた。


