きみと秘密を作る夜

「ねぇ」

「ん?」

「私、晴人のこと大好きだよ。だから、これからはどんなことでもふたりで乗り越えようね。ひとりだったら怖くて逃げだしちゃうようなことでも、きっとふたりでなら大丈夫だと思うから」


私の言葉に、晴人は少し驚いた顔をして、でも次にはふっと笑って見せた。



「男前じゃん」

「でしょ? 私だって色々あって、少しは強くなったんだから。だから、もし晴人が道に迷った時には、今度は私が手を引っ張るよ」

「へぇ。かっこいいじゃん、それ。さすがは里菜子だよ。惚れ直したわ」


ふざけているのか、本気なのか。

晴人は笑いながら言っている。


何だかなぁ、とは思ったけれど、でもやっぱり、言いたいことを言い合って、気付けば笑っていられる相手は、晴人しかいないから。



『迷ったら、笑顔になれる選択を』とは、祖母の言葉だ。



「まぁ、先のことはわかんねぇけど。難しいことは抜きにして、俺らはさ、毎日、こうやって一緒に笑ってることが大事なんじゃねぇの?」


そうだね、晴人。

私もそう思うよ。


ずいぶん遠まわりをして、その間に失ったものもたくさんあるけれど、でもだからこそ、私たちは、今残っているものを大切にしなきゃいけないよね。


今度は間違えないように、ふたりで一歩一歩、ゆっくり進もう。

その道の先には、きっと楽しい未来が待っているはずだから。










【END】