手を繋ぎ、笑いながら言い合っている私たちを、母と晴人の母が見ていた。

これはさすがにやばいかもしれない。



「あ、えっと。お母さん、心配かけてごめんなさい」


慌てて手を離し、今度こそ頭を下げる私に、母は大きなため息を吐いた。



「おかげであの日のことを思い出して、気が気じゃなかったわ」

「お母さん。あのね、そのことで話があるんだけど。私、晴人と」


しかし、みなまで言うより先に、母は私の言葉を制した。



「もう夜も遅いし、あなたは早く家に戻って、お風呂に入って体を温めなさい。ふたりの話は、後日ゆっくり聞くから。いいわね?」


母は何だかもう、半分は諦めているような顔だったが、しかし私は喜びが隠せなかった。

「お母さん、ありがとう!」と、声を上げる私を見て、今まで後ろで黙っていた晴人の母が、笑いだした。



「よかったわねぇ、リナちゃんもハルも。ほんとはふたりとも、すっごく仲よしだったものねぇ」


私たちの関係を、どこまで知っているのか。

ほんわかと言う晴人の母を、母は呆れ返った顔で見た。