「すげぇな。奇跡だよ」


私は晴人が持ち上げたそれを、両手に包んで胸に抱いた。


破れてしまったシュシュは、もう使えない。

けれど、ネックレスは、チェーンを直せばまた使える。



「すごいね、晴人。星が落ちてきたみたいだね。私、もう一生、流星群なんか見られなくてもいいよ」

「そうだな。こんなことってあるんだな」


晴人は、葉っぱまみれで私を抱き締めた。



「今さ、この奇跡の連続はもしかしたら星矢のおかげかもって思った。笑うか?」

「笑わないよ。だって私も同じこと思ったもん」


そのまま、私たちは、どちらからともなくキスをした。


触れるか触れないかのキス。

だけど、すぐにお互い、吹き出したように笑ってしまう。



「くっせぇ! 枯れ葉くせぇ! 最悪だよ!」

「あはははは! ほんとムード台無し!」

「って、そもそもお前が転ぶからだろうが!」

「でもそのおかげでネックレス見つかったじゃん! 転んだ私に感謝してよ!」

「はぁ? ふざけんな!」


言い合って、また笑う。

何だか昔に戻ったみたいだった。


さんざん笑ったあと、晴人はふと真面目な顔をして言った。



「俺さ、この前、街で偶然、親父に会ったんだ」

「……お父さんに?」