食事を終え、帰る竹田くんとゆっこを見送る。



「ごちそうさま」

「ありがとう。またきてね。って、言わなくてもどうせまたそのうちくるんだろうけど」


いつもの挨拶。

しかし今日は、何だか違和感が。


ふたりはそのまま背を向けるわけでもなく気まずそうに顔を見合わせ、そして意を決したように私を見た。



「あのさ、実はこの前、沙耶に会ったんだよね」

「沙耶ちゃん?」


懐かしい名前。

ゆっこと同様に、転校してきたばかりの私と仲よくしてくれていた、優しい子。



「高校が別々になってから疎遠だったんだけど、久しぶりに会ったらお互いに積もり積もった話に花が咲いてね?」

「うん」

「で、流れで今はリナが『よしだ』でバイトしてるって話になって、そしたら沙耶が『会いたい』って」

「え?」

「『ずっと心に引っ掛かってたの』って。『だからリナちゃんに会って、昔のこと謝りたい』って、沙耶が」


謝られるようなことは何もない。

昔のことだし、それに沙耶ちゃんは何も悪くないのだから。



「謝らなくていいから、今度『よしだ』にご飯食べにきてって伝えといてよ」


私の言葉にふたりはまた顔を見合わせ、そして笑いながらうなづいた。