そんなことはわかっている。

けど、でも。



「リナは少しでも長く俺といたいとは思わないの?」


わからない。

本当にわからない。


ふるふるとかぶりを振ると、遼はひどく驚いた顔をした。



「リナ!」


遼はまた、私の肩を強く揺する。



「なぁ、どうしたんだよ!? おばあちゃんが亡くなったから、弱気になってるだけだよな!? まさか本当に俺のことが嫌いになったわけじゃないよな!?」


嫌いじゃない。

だけどもう、好きだとも言えない。


その手を振りほどき、足を引いた。



「ごめん。とにかく今日はもう帰らせて」


言うが先か、私は逃げるようにきびすを返した。




遼は私のことが好きで、心配しているからこそ、あんな風に言ったのだろう。



遼の言っていたことは、ある意味では間違っていないと思う。

ただ、私とは考え方が違うだけ。


どちらが正しいとかではないからこそ、互いに相手の言い分を受け入れられないのだ。




私と遼の歯車は、もう完全に噛み合っていなかった。