何だかんだで学校に行くのは1週間ぶりのことだった。

あさひは私を心配してくれ、休んでいた分のノートをすべてコピーしてくれた。


そして放課後を待って、遼に会った。



「リナ!」


遼は駅前で、人目もはばからずに私を抱き締めた。



「ずっと連絡が取れなくて心配したんだからな」


祖母が亡くなって以来、私はスマホの電源が切れっぱなしだったことすら気付かなかった。

なので、母が学校に忌引の連絡をし、それを知ったあさひが伝えて、やっと遼は私の状況を知ったのだそうだ。


本当に申し訳ないことをしたと思っているけれど、でも正直、遼のことなんてこれっぽっちも頭になかった自分がいたことは確かだ。



「ごめんなさい」

「うん。まぁ、仕方ないことだけどさ」


遼は私の頬に触れる。



「すごく心配したんだからな。連絡が取れない間、リナはもう俺のことが嫌いになったんじゃないか、もしかしたら他に男がいて、そっちを選ぶのかも、って」

「そんなわけ……」

「うん。だから、おばあちゃんが亡くなったって知ってよかったよ」

「え?」

「あ、そういう意味じゃないんだけどさ。リナが浮気してたわけじゃなくてよかったってことね」

「………」

「ほんとのこと言うと、1分でも俺に連絡する時間はあったんじゃないかなって思ったりもしたけど、もういいよ。今回だけは許すからさ」