考えたって答えは出ないまま、とぼとぼと通夜振る舞いの席に戻っている途中、背後から声を掛けられた。



「小泉さん!」


振り返ると、喪服姿の竹田くんとゆっこがいた。

まさかきているとは思わず、ひどく困惑したのだけれど。



「うちのじいちゃん、自治会長だからさ、俺も一緒についてきたんだ。明日の葬儀は学校あって出られないから、せめてお通夜だけでもって」

「うちも。おばあちゃんが、老人会でリナのとこのおばあちゃんと仲よかったからって」


ふたりは私をうかがった。



「そっか。わざわざありがとう。私、この前、あんなひどいこと言ったのに……」

「そんなのいいよ。友達でしょ?」


友達。


晴人以外はいらないと思っていた、あの頃。

それでもなお、ゆっこは私の手を取ってくれた。



「うちらは生まれた時からこの田舎町で暮らしてるからお葬式に出るのとかは慣れてるけど、でも遺族の悲しみには『慣れ』なんてないよね。家族が亡くなったんだもん。辛いに決まってるよ」

「そうだよ。だから、俺らで協力できることがあるなら言ってよ。できる限りのことはするからさ」


ふたりの優しさが、こんな時だから余計に、骨身に染みた。

私は、それでも息を吐いて顔を上げる。



「本当にありがとう。すごく助かるよ。でも、大丈夫。私は平気」

「リナ……」