10月にもなると、ずいぶんと日が暮れるのが早くなったように思う。

いつの間に、夏は終わってしまったのだろう。


看板作りで疲弊した体を押して、地元に戻ってきて電車を降りたところに、その人たちは立っていた。



「あ……」


どうしたものかと思った。

しかし、無人駅の出入り口はひとつしかないため、無視してそこを通り過ぎるのはさすがに不可能だった。



「リナ」


ゆっこが私の名前を呼ぶ。

私は思わず、その横にいた竹田くんを睨んだのだけど。



「ごめんね、小泉さん。俺らだってこんな、待ち伏せみたいなことはしたくなかったんだけど、ずっとシカトされっ放しだったから、他に方法なくてさ」

「言ったよね? 私は話すことなんか何もないって」

「だからぁ、小泉さんにはなくても、俺らにはあるんだってば」


言い合っていても、埒が明かない。

ふたりは、そこを通してくれる気はないらしい。


私は、諦めてため息を吐いた。



「リナ」


ゆっこは意を決したような顔。



「あの日、ほんとは何があったのか、もういい加減、話して聞かせてくれてもいいんじゃない?」


予想通りとはいえ、気分がいいもんじゃない。

私自身が一番、あの日のことなんか思い出したくないというのに。



「しつこいって。私の怪我は、階段から落ちた時のものだって何度も言ったじゃん」

「ほんとのこと言ってよ! うちらは何言われても今度はちゃんと信じるから!」

「いい加減にしてよ。仮に、他に真実があったとして、ふたりがそれを知って何になるっていうの? 好奇心を満たしたいだけのために私の過去を利用しないで」