翌日は日曜日だったため、私は遅くまで寝ていたのだが、その間にも遼からはものすごい数の着信があった。

どうしたものかとは思ったが、あまり無視を続けるわけにもいかず、仕方がなく電話に出て、会う約束をした。


いつも通りに駅で待っていると、現れた遼は泣きそうな顔をしていて、いきなり人目もはばからずに抱き付かれたから驚いた。



「リナ。昨日はほんとにごめん」


遼の声は震えていた。



「俺、もう二度とあの店には行かない。それでちゃんとリナのこと守れるような男になるよ」

「………」

「こんなこと言って、情けないよな。ハルにも呆れられたし。でも、嫌いにならないでよ。俺、リナに捨てられたらどうすりゃいいのかわかんないんだよ」


悲壮な遼の顔。

もしかしたら、ほとんど寝ずに、夜通し私からの連絡を待っていたのかもしれない。


私はため息を吐いた。



「別に嫌いになったわけじゃないよ」


遼の頭を撫でてやる。



「ごめんな、リナ」


ひどく落ち込んで言う遼に、私は「もういいよ」とだけ返した。



あさひを本気で止めず、一緒にあの店に着いて行ったのは私だし。

そこにたまたまあの男がいて絡まれただけで、あれはもう、運が悪かったと思うしかない。


別に遼が一方的に悪いというわけではないのだから。



「もういいよ、その話は」


私の言葉に、遼ははっとして、「そうだよな」と言った。



「パフェ食べようよ。俺奢るし。それで忘れようよ、あんなこと」


遼は、うなづく私の手を引いた。



これでいい。

誰かの所為で私たちがぎくしゃくするなんて、間違ってる。


だから、私と遼は、これでいいのだ。